腸脛靭帯炎(Iliotibial Band Syndrome、ITBS)は、ランナーやサイクリストなどのアスリートによく見られる膝外側の痛みを引き起こす障害です。これは腸脛靭帯が大腿骨の外側にある骨の突出部(大腿骨外側上顆)と擦れ合うことによって生じます。摩擦が繰り返されることで炎症や痛みが引き起こされます。

原因

腸脛靭帯炎の主な原因には以下のようなものがあります:

  • オーバーユース(過度の使用):走行距離の増加や急な運動の強度の上昇による影響。
  • 不適切なランニングフォーム:足の着地位置や歩幅の問題。
  • 筋力の不均衡:股関節周りやお尻の筋肉の弱さが原因で、膝や足の動きが不安定になることがある。
  • 硬い腸脛靭帯や筋肉:腸脛靭帯や周囲の筋肉が硬くなると、炎症のリスクが高まる。

症状

  • 膝の外側に鋭い痛み。
  • ランニングや階段を下るときに悪化することが多い。
  • 膝を曲げ伸ばしするときに引っかかるような感覚。

治療

治療には以下のような方法があります:

  1. 休息:活動を減らし、腸脛靭帯の回復を促す。
  2. アイシング:炎症を抑えるために患部を冷やす。
  3. ストレッチと筋力強化:特に股関節周りの筋肉を伸ばすストレッチや強化トレーニングが有効。
  4. フォームの改善:ランニングやサイクリングのフォームを見直し、正しい姿勢を保つことが重要。
  5. 物理療法:手技や電気(ハイボルト)を使い治療していきます。

予防

腸脛靭帯炎を予防するためのポイントには以下があります:

  • ウォームアップとクールダウンを徹底する
  • 適切な靴の選択:クッション性のあるシューズを使用する。
  • ストレッチと筋力トレーニングを日常的に行う。
  • 急激なトレーニングの増加を避ける

腸脛靭帯炎は適切なケアと予防策を講じることで、多くの場合は改善することが可能です。