腸脛靭帯炎(Iliotibial Band Syndrome、ITBS)は、ランナーやサイクリストなどのアスリートによく見られる膝外側の痛みを引き起こす障害です。これは腸脛靭帯が大腿骨の外側にある骨の突出部(大腿骨外側上顆)と擦れ合うことによって生じます。摩擦が繰り返されることで炎症や痛みが引き起こされます。
原因
腸脛靭帯炎の主な原因には以下のようなものがあります:
- オーバーユース(過度の使用):走行距離の増加や急な運動の強度の上昇による影響。
- 不適切なランニングフォーム:足の着地位置や歩幅の問題。
- 筋力の不均衡:股関節周りやお尻の筋肉の弱さが原因で、膝や足の動きが不安定になることがある。
- 硬い腸脛靭帯や筋肉:腸脛靭帯や周囲の筋肉が硬くなると、炎症のリスクが高まる。
症状
- 膝の外側に鋭い痛み。
- ランニングや階段を下るときに悪化することが多い。
- 膝を曲げ伸ばしするときに引っかかるような感覚。
治療
治療には以下のような方法があります:
- 休息:活動を減らし、腸脛靭帯の回復を促す。
- アイシング:炎症を抑えるために患部を冷やす。
- ストレッチと筋力強化:特に股関節周りの筋肉を伸ばすストレッチや強化トレーニングが有効。
- フォームの改善:ランニングやサイクリングのフォームを見直し、正しい姿勢を保つことが重要。
- 物理療法:手技や電気(ハイボルト)を使い治療していきます。
予防
腸脛靭帯炎を予防するためのポイントには以下があります:
- ウォームアップとクールダウンを徹底する。
- 適切な靴の選択:クッション性のあるシューズを使用する。
- ストレッチと筋力トレーニングを日常的に行う。
- 急激なトレーニングの増加を避ける。
腸脛靭帯炎は適切なケアと予防策を講じることで、多くの場合は改善することが可能です。